mizzsugar’s blog

Pythonで学んだことや読書録を書きます。

【読書レビュー】人工知能×ビッグデータが「人事」を変える

評価・選考の基準があいまいな日本の人事

人事の最大の課題は労働力の確保、労働力の品質の維持です。 バブル時代は、労働力の確保のために大量のリクルーターを使って内定者を確保していましたが、 バブル崩壊後は利益を産まない管理部門に人員を割くわけにはいきません。

そのため、少ない人数で労働力を見極めなくてはなりません。

インターネットの普及につれて、採用サイトの利用も始まりました。

エントリーシートの内容だけで就職活動をする学生のことがわかるはずもなく、 企業と社員のミスマッチが起こっています。

人事は、哲学的な面が大きな鍵となっているため、コンピュータによって人事が決まることが恐れられてきた節があります。 しかし、「この人は活躍しそうだ」と採用者の経験と主観に頼った採用活動では たくさんいる応募者から本当に活躍しそうな人を見つけることは難しいです。

この本では、判断基準をより明確にするために、 AI×ビッグデータを利用した人事制度を提案しています。

4つの日本のアナログな問題点

1.制度主義

日本の人事は、人事制度企画が花形とされています。 複雑な制度設計の知識が必要だし、机上の業務としても面白いからです。

しかし、そのような企画系の戦略業務が花形になるについれて、人自体を扱う側面は減っています。

このような個人人事は、 現場に出て、組織の病巣が手遅れになる前に部長に相談して取り除いたり、 いい人材が干されていたら次にチャンスを与えるなど、 制度ではカバーしきれない現場の問題を調整する役割を果たします。

このような個別人事は、主観的かつ属人的であり、ナレッジが保管されないため、 グローバルに戦線が広がるにつれて、物理的に対応しきれなくなってきました。

そうして、ますます人事評価は現場主義になり、現場から遊離した存在になっていました。

2.組織と個人の意思のバランス

高度成長期に培った、「会社のために組織が一丸となって働く」という価値観のもと、 人事の業務は、以下に集団の和を保ち、ベクトルを一定の方法に向かわせることでした。

そのための、年功序列や終身雇用でした。

しかし、バブル崩壊後、年功序列と終身雇用による労務費を削減することを目的とした 成果主義が導入されることになりました。

しかし、組織の冗長性を糧とした集団主義でやってきた日本企業では、 バブル崩壊から二十数年たつが、個々人の頑張りが報われ、年功にとらわれずに思う存分挑戦できるという風土は未だに形成されていません。

3.暗黙知経営とダイバーシティの相克

日本の経営は暗黙知主導型です。 人事マネジメント面での暗黙知ベースの運用は、密室人事や声の大きさっで決まる政治的な異動や評価に帰結します。

ダイバーシティが進行すると、暗黙の前提が共有されていない社員同士にいかに共通認識をもたせ、ベクトルを合わせるか努力しなくてはいけなくなります。 そこで、説明責任が重要になりますが、暗黙知でやってきたので説明ができず、現場からの不信感につながってしまいます。

4.短期思考な評価制度

年功序列をベースにした総合判断・微調整型成果主義から、超短期的な目の前のKPI重視の成果主義にとってかわられたため、 結果を導くための先行投資や自組織が目指すビジョンや目的が後回しなりました。

プロセスにおけるイノベーションを起こさないと達成できないような数値目標をかかげても、プロセス評価の指標がルーティン作業の側面だけ評価しているため、 個人の成長にも、組織地の集積にも結びつかない評価が横行しています。

イノベーションを起こし続けるために

それまでは、「自社の競争優位をいかに確率するか」がテーマでしたが、 これからの時代、絶えずイノベーションを起こし続けないと生き残れなくなってきました。

スローな暗黙知経営ではなく、客観的な指標に基づいたマネジメントが必要です。 データに基づいた、明るくオープンな人事戦略が期待されます。

社内政治やしがらみにとらわれることなく、仕事に没頭できる基盤を想像するのが、AIとビッグデータに基づいた人事システムだと言えます。

AIとビッグデータを用いた知の共創の仕掛け

1.人事戦略:グローバル基準の戦略立案

自社の戦略から来る必要人材の要件や、グローバルな講師絵などがシミュレーションからはじきだされ、もっとも効率的な組織構成にするための方向性が明らかになる。 また、世界中のイノベーション企業の最先端の人事のベストプラクティスが手に入る

2.採用:求める人材像の基準化

採用面談でのやり取りの記録から徐々にデータが整備され、面接官の質問ややり取りの訓練が行われる。また、企業の採用基準が公開されることになれば、 企業のコンピテンシーアップを目指して学生もがんばることができる。 コンピテンシーを判断するのに、自己評価だけでなく多面評価をする仕組みができた上で、えこひいきをAIで排除しつつ、企業に対して学生の正しいコンピテンシーの情報を提供できる。

3.評価:「評判」の重要性 企業内に、社員だけのLinkedInのようなビジネスに特化したSNSの仕組みを構築し、そこにAIをかませることで、360度から見られた的確な評判情報を入手できる。

4.異動・配置:職場やメンバーとのマッチング

それぞれの役割の適任者を瞬時にデータベースから割り出すことが可能になる。

5.戦略から合理的に落とし込まれた教育・キャリアパス

AIが個々人のキャリアパスも考慮にいれて、教育受講をリコメンドしてくれる。

6.企業文化はビッグデータの宝庫

みなが共有するデータや口コミ情報、特定の行動情報をAIによって分析する仕組みが作成され、組織文化の形成に活用される。 常時、自社の社員の意識がいろいろな行動パターンを通して、センサーで感知するなどして集計され、「今、どの職場のモチベーションが高いか」となどをリアルタイムで集計し、表示し、共有できるようになる。

思ったこと

AIとビッグデータを用いて客観的かつリアルタイムな情報を入手し、 人事戦略をオープンなものにすることは、 風通しのよい職場に必要不可欠だと思いました。

一方、AIを採用に活用しようとしたところ、 AIの判断基準が人間にとってはブラックボックスであり、 やはり活用をやめたという例もあります。

企業間競争で生き残るために ブラックボックスであってもAIを利用する またはAIに判断を委ねる時代が来るのだろうか、 とぼんやり考えてしまいました。

また、モチベーションが高い低いを客観的に判断できることは良いけれども モチベーションをあげる方法がわからないままだと より窮屈になってしまうのではないかとも感じました。